INTERVIEW
Vol.119 GLAY DRIVE 1993~2026 Talk Session Web Interview ver.
4月23日に2作同時リリースされる、デビュー30周年記念ベストアルバム『DRIVE 1993~2009 -GLAY complete BEST』・『DRIVE 2010~2026 -GLAY complete BEST』。 2000年にリリースした『DRIVE -GLAY complete BEST』の後継作となる今作は、“あなたとGLAYで創る”をテーマにファン投票をおこない、投票総数65,260票より決められた収録曲となっている。『DRIVE 1993~2009 -GLAY complete BEST』の通常盤には、投票結果を初めて見たメンバーたちが思い思いに感想を語り合った「GLAY DRIVE 1993~2026 Talk Session」を映像特典として収録。2月某日に収録した座談会から一部抜粋し、再構築したのが、このWEBインタビューである。
2025.4.23
- “あなたとGLAYで創る”をテーマに、ファン投票で決定した収録曲のラインナップ。まずは、投票結果を初めて今ご覧になった、率直な感想をお聞かせください。
- TAKURO
1994~2009年の投票では「pure soul」が1位、なるほど。10位までがメロウ。
- TERU
かろうじて「BEAUTIFUL DREAMER」がロックだけど。
- TAKURO
やっぱり“優しさロック”ですねぇ。
- HISASHI
メロディがハッキリしてる曲、強いね。
- TERU
10位までは、ライブでの名場面がある曲ばっかりのような気がする。
- JIRO
けっこう想像通り、という感じはする。それだけ、僕らがコンサートで築き上げてきたものと、ファンの人たちの「聴きたい」というニーズが「離れていないんだな」ということを確認できますよね。
- TERU
- 2010~2025年のランキングには、最新アルバム『Back To The Pops』からの曲も入っていますし、直近の曲の人気が高い印象です。
- HISASHI
そうね、「BRIGHTEN UP」とかね。
- TERU
「疾走れ!ミライ」が1位か。今回のアリーナツアーで印象的だったからね。
- TAKURO
この15年間、俺、すごい頑張ったつもりなのに……。
- 一同
(笑)
- TAKURO
TERUのMCのせいだよ、「10年後も歌う」とか宣言するから。それを言うと「Buddy」も絶対、俺のMCのせいだけどね(笑)。HISASHIさん、入ってますよ、「ROCK ACADEMIA」。
- HISASHI
お~、ほんとだ! まぁ、ここら辺の票は少ないだろうね、53位の「黒く塗れ!」とか。え?「妄想コレクター」?
- TAKURO
この15年で、HISASHIさんキテますよ。
- HISASHI
TERUがこの中でパッと歌えないやつ、どれ?
- TAKURO
当ててやろうか(笑)。
- TERU
新し目の曲は行けるんじゃない?
- HISASHI
「虹のポケット」行ってみようか。
- TERU
♪虹のポケットォ~……(笑)。
- TAKURO
それ、ドラちゃんな気がする(笑)。
- TERU
- 「THE GHOST」も入っていますね。作曲者としてJIROさん、どう思われますか?
- JIRO
ありがとうございます。この辺りの感じの曲は、これから更に追求していきたいなと思ってるので、期待していてください。
- HISASHI
(ランキング表を改めてじっくりと見ながら)「BLACK MONEY」とかさ、要らねぇだろ(笑)。「特に好きな曲ないし、これでいっか」って?
- HISASHI
- いやいや、人気曲なんじゃないですか? そういえば『HISASHI TV』で投票結果について、「It‘s dying It’s not dying」は入ってる?と気に掛けてらっしゃいましたね。
- TAKURO
「It‘s dying~」入ってない?ゼロ票?
- HISASHI
え、全然ダメ?
- TAKURO
腹立った!「疾走れ!ミライ」を落として入れてやる(笑)。
- HISASHI
- 今回、1人1票の投票だったんですよね。
- TAKURO
それに関してはちょっと俺、運営側に問題あると思うな。一人一票で150字だっけ? もっと書かせてやれい。
- JIRO
俺は一人3票が良かったと思う。
- TAKURO
無効ですよ、やり直し!
- JIRO
2番目、3番目が採用されないとしても、投票する側の気持ちとしては「絞って3曲なんですよ。でもこれが1位」というふうに選べたら、気持ち的に楽なのになって。
- TAKURO
5曲ぐらいにしてあったら「1位、『疾走れ!ミライ』8万票」とかになるけど、今きっと92票とかでしょ?
- JIRO
- もっと多いです(笑)。
- HISASHI
たしかに究極の選択ではあるよね、1票っていうのは。
- そもそも“あなたとGLAYで創る”というコンセプトに決まったのは、どんな経緯があったんですか?
- TAKURO
30年やってきて、この時代を共に駆け抜けたファンの人たちと作るなら、どんな感じのアルバムになのかな?って。今はいくらでも自分のベストが作れるような時代なだけに、一緒に時代を歩んだ人たちと作ったら、“永遠の一枚”になる気がしたんですよね。だから実際、結果を見て「これがGLAYファンの気持ちか」と思うと誇らしいですよ。90年代はメディアスクラムによる数の原理もあったと思うけど、やっぱり俺たちの真骨頂は、2010年以降にある気がするし、一作曲家としては面白みが全然違うし、2010年以降のほうが俺の好きなGLAYだから。そういう意味では、前半のランキングに対しては……俺が目指したロックバンドはこんなメロウじゃない!
- 一同
(笑)
- TAKURO
「ACID HEAD」とか、そういうのが入っててほしいよねぇ。1位「pure soul」だとさ。でも、これがザ・GLAYだから、世の中の人から見たGLAY像を改めて確認できたかな、と。
- 一同
- 投票で決まった収録曲以外の、再録、新録曲も気になります。デビュー曲「RAIN」の原曲「JULIA」のデモを、最新のテクノロジーによって再構築した上で今回収録されるそうですね。
- TERU
3日前にそのデータが届いて、聴いたんだけど……今俺、「出したくない」って駄々こねてるの(笑)。
- TAKURO
今揉めてる(笑)。
- TERU
なんかね、聴いてて息苦しかった。
- TAKURO
いや、本当に今ここでミーティングするんだけど。30年前の音源は工藤(雅史/エンジニア)さんと村潤(村山☆潤/サポートキーボード)により、ピッチやリズムはもっと良くなる。あれに今のTERUのアプローチでコーラスを入れてほしい。
- TERU
じゃあ、コーラスを倍デッカくして(笑)!
- TAKURO
していい!
- HISASHI
TAKUROが言ってるのは、ビートルズの「NOW AND THEN」みたいなことじゃない?
- TAKURO
そうそうそう。当時の小さなデモテープから、今のテクノロジーで「こんなふうになりますよ」っていう。JIROは「いいよ」って言ってくれたよ?
- JIRO
いや、俺「RAIN」をイジるんだと勘違いしてた。だって「JULIA」にはそもそもベース入ってないじゃん?
- TAKURO
そうそう、入ってないから今のJIROが弾いてほしいの。
- JIRO
なるほど。
- HISASHI
ドラムは入ったの?
- TAKURO
ドラムは永井(利光)さんが今度入れる。
- HISASHI
じゃあ絶対、俺がTERUだったら文句言うと思う。
- JIRO
うん、歌い直すよね。「なんで自分だけ過去の音源なの?」って。
- TAKURO
過去じゃないって! 今のTERUの声も入るって!!
- HISASHI
でもメインは過去でしょ?
- TERU
そう、あの下手クソなやつだよ。じゃあ、ピッチを直そうかなぁ……。
- TAKURO
で、何の話でしたっけ?! これを観ている皆さん、今こんなに揉めてるけど、是非完成品をあなたの耳で確認してください。GLAYはこうやって音楽を作ってきましたよ!
- HISASHI
でも、「JULIA」を知らない人のほうが多いからね。
- TAKURO
当然「RAIN」は入ってるんだろうね?YOSHIKIさんが「JULIA」のデモテープを聴いてTERUの声に感激し、失禁し、腰を抜かした、そんな当時の声が聴けるんです。
- TERU
よくあれで心動いたな、と思うけどね(笑)。
- TAKURO
YOSHIKIさん、疲れてたのかな?
- 一同
(笑)
- TAKURO
- まだ完成へ向けた制作の途上ということが、今の話し合いで分かりました。
- TAKURO
これからなんとかする。
- 全収録曲を対象とした質問ですが、2025年の今聴いて、リリース当時とは印象が変わったとか、「今になってすごく響く」とかいう曲があればお聞かせください。
- JIRO
最近の話で言うと、「海峡の街にて」とか「さよならはやさしく」とか、演奏するたびにどんどんバンドの熱量が上がっていく、というのは肌で感じていました。もう既にこの2曲に関しては自分の中で、GLAYの歴史の中でもかなり好きな曲になっていますよね。
- TAKURO
俺たちってシングルを出した後ツアーに行くと、ライブでのグルーヴ感が楽しくなっちゃって、アルバムの時には録り直したりもするんだけど。今回に関しては、そういったアルバムバージョンとかリテイクではなく、シングルバージョンにこだわって入れようと思っていて。そういう意味では貴重な資料としてもお楽しみいただけるんじゃないかな? 今の時代サブスクにあったりラジオでよく流れたりするのはアルバムバージョンが中心だから、なかなか珍しいよね。そういったバージョン違いを、往年のファンの人たちには楽しんでいただければと思います。
- TERU
そういえばアリーナツアー中に「口唇」を歌うってことで、聴いたのが『DRIVE』(『DRIVE -GLAY complete BEST-』)バージョンだったんですよ。ピアノのイントロダクションがあるんだよね。
- TAKURO
そうそう。だから、気軽に聴こうと思ったらやっぱりシングルではなくアルバムバージョンが多くなっちゃうんですよね、今の世の中は。だから今回は、当時のいわゆる8センチCDでリリースしたシングルバージョンを大事にして入れよう、と。
- TAKURO
- HISASHIさんはいかがですか? リリース当時と比べて印象が変わった、今は違う感情を抱くようになったという曲はありますか?
- HISASHI
全部変わってるんだけども、やっぱりツアーでやり慣れたり、よりその曲の理解を深めたりすると、解像度が深くなるんだよね。例えば「Buddy」とかもそうで、リリースされた時は「ちょっとゆったりしたグルーヴの曲だな」と思っていたんだけど、どんどん知っていって、お客さんたちと広めてどんどん煮ていくと、曲ってビートの“間(あいだ)”が見えてくる。それがすごく、曲が成長する瞬間だなと思いますね。
- レコーディングではなく、ライブで披露して初めて分かることがあるんですね。
- HISASHI
より理解できるというか。まぁそうだよね、リリースした時は、まだ1回も披露されてない時だったりしますから。長い付き合いにはなるでしょうね。特に初期の楽曲に関しては「自分が思い描いたフレーズをようやく弾けてるな」と思う瞬間もあるけど、やっぱりこれ(※収録されているバージョン)がスタートだから。一生残る音だから忘れられないし、自分の1歩目みたいな感じで言うと、大事な作品ばっかりですよね。
- 「ドームツアーにはお友だちを連れて行く」というBuddyの方も多いと思います。メンバーの皆さんから是非、「GLAY初心者のお友だちに聴かせるなら、この3曲!」というレコメンドをお願いします。
- TERU
「It‘s dying~」を聴かせて(笑)。
- TAKURO
今、この映像のBGMでは「It‘s dying~」が流れてるはずだよね。
- HISASHI
あはは!じゃあ入れろよ(笑)。
- TAKURO
亀田(誠治)プロデュースで再録するか。そうだなぁ……「Beautiful like you」は、90年代からのキャリアを通しても、今これを聴いてもらったらGLAYに誤解がない気がする。お友だちに聴かせるのであれば、メロウな曲がいいよね。
- JIRO
やっぱりメロウ(笑)。
- TAKURO
この曲なら演奏も歌も解釈も、今のGLAYをちゃんと正しく伝えられる気がするけどなぁ。
- HISASHI
去年フェスとかに出た時、1時間でGLAYの魅力を詰め込めるようなセットリストにしたんだけども、だいたい網羅しているんですよ。その中で言うとやっぱり「SOUL LOVE」とかが説明しやすい楽曲だと思いますけどね。4人の良さが出てる。
- JIRO
やっぱり前半の曲のほうがいいんじゃないですか? GLAYファンじゃなくても皆さんが耳にしている可能性もあるし。だから、1994~2009年の投票の上位3曲とか。こっち(2010~2025年)ではないなって感じ。こっちはよりGLAYのことを理解してくれた人たちが選んでくれた曲たちだから、これはこれで本当にありがたい3曲ですけども。GLAYのことをもし何も知らないお友だちだったら、前半の盤のほうが親切なんじゃないですかね?
- TERU
やっぱり「SOUL LOVE」とかかな。30年間の中でひょっとしたら皆でいちばん一緒に歌ってきた曲なんじゃないかな?とは思いますよね。場面場面で重要な役割を果たしてくれた曲でもあるのかな?って。「SOUL LOVE」の前に必ず一言僕からあるじゃないですか? 時代によってそれがすごく変わってくるから。
- TAKURO
「SOUL LOVE」大喜利がね(笑)。
- TERU
あはは!当時の想いだったり時代背景だったり、GLAYの状況だったり、バンドとして向かっている方向性とか、全部そこに出ている気がするので。今じゃもう大合唱ですもんね。皆で歌う曲として、すごく入りやすい曲なんじゃないかな?と思います。
- TAKURO
- 「Beautiful like you」と「SOUL LOVE」が選ばれてきて、あと1曲ですが……。
- TAKURO
JIROの話を聞いてなかったな?
- すみません(笑)。1曲に絞るのは酷、という話でしたね。
- HISASHI
やっぱり「誘惑」なんじゃない?
- TERU
「彼女の"Modern…"」は? 入ってないっけ?
- HISASHI
入ってるんだけど、もうちょっと(順位は)頑張ってほしかったね。
- TAKURO
「~"Modern…"」は歌詞がアホなんだよなぁ。でも「生きがい」より下はねぇだろ(笑)。
- TERU
「彼女の"Modern…"」は、ギターの掛け合いだとか、ロックに対する当時の憧れがいっぱい入っている曲で。ロック大好きバンドがやってる曲、みたいな感じはしますよね。
- TAKURO
ドームでやるんだっけ?
- JIRO
いや、まだ決めてないけど。今ずっと思ってたんだけど、「彼女の"Modern…"」に関しては、デビューしてからしばらくはたぶん、俺たちが「こういうスタイルのバンドですよ」ってことを表現したい曲だったと思うんですよね。でも今は違って、この曲をやった時にファンの皆の顔を見て喜んで俺たちが演奏する、みたいな曲に変わってきていると思うんです。今のGLAYの表現の仕方のほうが、本当のGLAYらしい姿というか。だから、1994~2009年の投票で上位に選ばれた“優しさロック”みたいなマインドが、実は「彼女の"Modern…"」にもある、というか。そんな感じはするなぁ。
- TAKURO
あら、いいこと言う。
- TERU
- では、「Beautiful like you」と「SOUL LOVE」と「彼女の"Modern…"」を、「GLAY初心者のお友だちに聴かせるなら、この曲!」三選とさせていただきます。
- TAKURO
そんなバンド、ライブで観たらうちの事務所にスカウトして即契約するわ。
- 一同
(笑)
- 一同
取材・文/大前多恵